早期再分極異常症候群―再分極異常vs.脱分極異常

  • 古川 哲史
    東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学
  • 小泉 章子
    東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学
  • 笹野 哲郎
    東京医科歯科大学医学部循環器内科

書誌事項

タイトル別名
  • Early Repolarization Syndrome -- Repolarization Abnormality vs. Depolarization Abnormality

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説明

早期再分極異常症候群は,2008年Haïssaguerreが,下壁側壁誘導においてQRS波とSTの境界J点の0.1 mV以上の上昇を示す心電図が特発性心室細動患者で有意に多いことを報告してから注目されるようになった.その発生機序が再分極異常(早期再分極)にあるのか,もしくは脱分極異常(脱分極の遅延)にあるのかは,争点のひとつとなっている.今回,His-Purkinje系に特異的に発現し,コネキシン40の発現を制御する転写因子のノックアウトマウスを作成したところ,このマウスはHis-Purkinje系の伝導障害を有することがわかった.マウス心電図でJ点の温度依存性の上昇,心筋梗塞後2~7日における持続性心室頻拍,非持続性心室頻拍のストーム,心室期外収縮の頻発など早期再分極症候群に類似の表現型が観察された.早期再分極症候群の機序として,脱分極異常が関与しているものと考えられる.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 32 (3), 279-285, 2012

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (5)*注記

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