Defining Issues Testを用いた道徳判断の発達分析

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  • Using the Defining Issues Test to Analyze the Development of Moral Judgment
  • Defining Issues Test オ モチイタ ドウトク ハンダン ノ ハッタツ ブンセキ

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抄録

本研究は, Kohlbergの道徳性認知発達理論の立場から, Defining Issues Testを用いて日本の青少年の道徳判断の発達について分析し, 6つの結果を得た。(1) 新たに設定した発達段階の評定基準に基づいて小学生から大学生を8段階に分類したところ, 年齢の上昇と共に判断の発達段階が高くなる事実が確認され, Kohlberg理論を支持する結果を得た。また, 発達の特徴として, (2) 小学校高学年の7割以上は「選択的道徳判断」において慣習的水準に達している。(3) 発達段階の認知構造モデルを作成することにより, 道徳判断の構造的変化および発達の道筋が示された。(4) 葛藤を解決するために複数の道徳的観点を選択する際は, 小・中学生は低い段階の観点から高い段階の観点へ, 高校・大学生はその逆の順序で観点を選択し, 異なる選択パターンの存在が示唆された。(5) 多くの年齢層で道徳判断の発達に性差が認められ, 男子に比べて女子の発達段階の方が有意に高い。また, 男子の方が段階3の道徳的観点への志向性が強い。(6) 発達水準が高くなると判断の発達的なずれは小さくなり, 安定した道徳的認知構造が構成されることが明らかになった。

収録刊行物

  • 教育心理学研究

    教育心理学研究 59 (2), 155-167, 2011

    一般社団法人 日本教育心理学会

参考文献 (6)*注記

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