高層集合住宅における階層の室内塵性ダニ類の分布に及ぼす影響

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タイトル別名
  • <I>Distribution of house dust mites in two high-rise residential buildings in central Japan</I>
  • コウソウ シュウゴウ ジュウタク ニ オケル カイソウ ノ シツナイ ジンセイ ダニルイ ノ ブンプ ニ オヨボス エイキョウ

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説明

名古屋市の市街部および豊田市の郊外部に位置する2棟のそれぞれ7階建と11階建の高層集合住宅において, 階層の室内塵性ダニ類の生息分布および室内温湿度変動に及ぼす影響を調査した.室内塵試料から飽和蔗糖液遠心浮遊法によりダニを分離し, ナイロン製の200メッシュ上に展開し, 乳酸で封入して, 同定, 計数した.高階層ではヤケヒョウヒダニおよびイエササラダニ, ツメダニ類, ホコリダニ類などの減少傾向がみられ, コナヒョウヒダニの分布は階層にあまり影響されないことが示された.この原因として高階層では室内湿度が低下し, 湿度要求性の高いヤケヒョウヒダニや非チリダニ類の生息分布に適しなくなると推察された.そこで名古屋市内の1棟において各階の温湿度変動を調査し, 高階層では低階層よりも湿度がやや低く, 降雨や風などの外気の影響によって大きく変動することが示された.これらの結果から, 高層集合住宅の高階層では風速の垂直分布の影響を受けて, 風力換気が高まり室内湿度が低下し, ヤケヒョウヒダニのような湿度要求性の高いダニ類の生息分布に適さなくなるが, コナヒョウヒダニは湿度要求性が低く, 高階層でも生息分布していると推察された.また両棟のダニ類の分布を比較して, 階層と同時に建物の気密性や周辺環境も室内気候に影響していると推定された.なお1983~1984年の調査ではコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの比が約1: 1であったが, 本調査では約5: 1で, 湿度要求性の高いヤケヒョウヒダニの減少が注目された.

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