暑熱順化の程度が高温環境下農作業時の体温調節反応に与える影響

  • 柏木 朋也
    東京農業大学国際食料情報学部国際農業開発学科
  • 樫村 修生
    東京農業大学国際食料情報学部国際農業開発学科
  • 高橋 久光
    東京農業大学国際食料情報学部国際農業開発学科

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of heat acclimation states on thermoregulatory response during agricultural work in the heat

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抄録

本研究は,暑熱順化の程度が農作業時の体温調節反応に与える影響について調べるため,暑熱に未順化な温帯生育者と暑熱順化した温帯生育者および亜熱帯生育者が夏季の高温環境下において農作業を行った際の深部体温,脱水状態,作業時間および作業強度の違いを調査した.調査は,2004 年および 2005 年の 6 月から 8 月の晴天時に,沖縄県宮古島市において実施した.被験者は,宮古島に到着直後の東京在住の男性 18 名(N 群)と,宮古島に 2 週間以上滞在中の東京在住の男性 5 名(S 群),および宮古島在住の男性 11 名(L 群)であった.<br> 作業中の総発汗量は,N 群と比較して S 群と L 群で有意に多かった.飲水量は,N 群と比較して L 群で有意に多かった.L 群と比較して N 群は,水分補給率が有意に低く,脱水率が高かった(p<0.05).さらに,L 群と比較して N 群は,作業時間は長く,作業強度は低かった.しかし,農作業中の鼓膜温は全ての群で変わらなかった.これらの結果から,暑熱に未順化な労働者は,暑熱順化した労働者よりも脱水傾向にあるが,作業時間を長くすることにより作業強度を減少させ,深部体温を維持していることが示された.したがって,温帯生育農業従事者が高温環境下で作業する際には,熱中症予防のため,水分補給を行う時間や摂取する量を決るなどの対策を講ずる必要があると考えられた.<br>

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参考文献 (21)*注記

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