農業従事者におけるハウス栽培作業時の熱中症および水分補給の実態

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タイトル別名
  • Actual conditions of heat disorders and hydration status in agriculture personnel working in a greenhouse
  • ノウギョウ ジュウジシャ ニ オケル ハウス サイバイ サギョウジ ノ ネッチュウショウ オヨビ スイブン ホキュウ ノ ジッタイ

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抄録

<p>農作業現場では,毎年熱中症による死亡者や救急搬送者が多くみられている.しかし現状は,農作業時の熱中症予防対策が遅れている.本研究は,ハウス栽培農業従事者の熱中症の予防対策について検討することを目的に,ハウス栽培農業従事者を対象に,熱中症発生の状況と水分補給の実態についてアンケート調査を実施した.</p><p>アンケート調査は,埼玉県春日部市近郊,および山口県宇部市近郊のハウス栽培農業従事者合計 257 名を対象とした.アンケートの内容は,自己申告による熱中症既往経験の有無,熱中症に関する自覚症状,作業前,および作業中,作業後の水分補給状況等であった.</p><p>ハウス栽培農業従事者における自己申告による熱中症の主観的既往者は 76 名(29.6%),主観的非既往者は 126 名(49.0%),熱中症の症状が分からない既往不明者は 52 名(20.2%),無回答 3 名(1.2%)であった.主観的非既往者に,実際は熱中症の自覚症状を呈した者が 70 名(55.6%),既往不明者 52 名の中に,熱中症の自覚症状を呈した者 42 名(80.8%),無回答 3 名が存在した.</p><p>また,水分未補給者は,作業前 50 名(19.7%),作業中 19 名(7.6%),作業後 25 名(9.8%)であり,とくに作業前が多かった(p<0.05).作業前の水分未補給を分類すると,既往経験 9 名(11.8%)に対して,非既往経験は 33 名(26.4%),既往不明が 8 名(16.0%)であり,非既往経験者に水分未補給者が多かった(p<0.05).</p><p>熱中症の自覚症状調査の結果,熱中症の既往経験者が多く存在した.しかし熱中症に既往していないと自己判断している者,および症状を理解していない者の中に,実際は熱中症を発症していたと思われる者が多数みられた.ハウス栽培農業従事者への熱中症対策においては,まず熱中症について正確な知識を得てもらうことが重要であると考えられる.</p>

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