脊髄損傷患者の看護に関わる看護師の感情体験

  • 加藤 隆子
    東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科総合保健看護学専攻精神保健看護学分野
  • 渡辺 尚子
    茨城県立医療大学保健医療学部看護学科
  • 堀内 ふき
    佐久大学看護学部看護学科

書誌事項

タイトル別名
  • Emotional Experiences of Nurses Caring for Patients with Spinal Cord Injury
  • セキズイ ソンショウ カンジャ ノ カンゴ ニ カカワル カンゴシ ノ カンジョウ タイケン

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抄録

目的:重度の脊髄損傷患者と関わる看護師の感情体験を明らかにすること.<br>方法:主に重度の脊髄損傷患者の看護に携わったときの感情体験について,看護師6名を対象に半構成のインタビューを実施し,質的帰納的に分析した.<br>結果と結論:脊髄損傷患者の看護に関わる看護師の感情として,【攻撃的な感情】【突き放した感情】【疲弊した感情】という否定的感情があり,これらの感情に揺らぎながらも対処行動として【物理的距離の調整】と【精神的距離の調整】をすることで,感情のバランスを保ち看護師としての職務を遂行していた.そして患者に【思いやる感情】を持ち,看護師は患者からの学びや自己の成長を感じながら【充実した感情】を体験していた.<br>否定的感情は,看護師の患者の自立への期待やその支えになりたいという思いと患者の状況との間の不調和が影響していた.また,脊髄損傷という疾患の特徴から看護師は主に情動中心型の対処行動を取る傾向があった.感情体験をスタッフ間で共有するだけではなく,その感情の意味を考え,実際の看護に生かしていく試みが必要である.

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参考文献 (23)*注記

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