多剤耐性変異を認めた悪性リンパ腫合併B型慢性肝炎に対しテノフォビルが著効した一例

  • 渡邊 綱正
    名古屋市立大学大学院医学研究科病態医科学
  • 菅内 文中
    名古屋市厚生院附属病院消化器内科
  • 楠本 茂
    名古屋市立大学大学院医学研究科腫瘍・免疫内科学
  • 新海 登
    名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学
  • 飯尾 悦子
    名古屋市立大学大学院医学研究科病態医科学 名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学
  • 松浦 健太郎
    名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学
  • 日下部 篤宣
    名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学
  • 宮木 知克
    名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学
  • 野尻 俊輔
    名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学
  • 田中 靖人
    名古屋市立大学大学院医学研究科病態医科学

書誌事項

タイトル別名
  • A case report of successful therapy with tenofovir for a multi-drug resistant chronic hepatitis B patient complicated with malignant lymphoma
  • 症例報告 多剤耐性変異を認めた悪性リンパ腫合併B型慢性肝炎に対しテノフォビルが著効した一例
  • ショウレイ ホウコク タザイ タイセイ ヘンイ オ ミトメタ アクセイ リンパ シュ ガッペイ Bガタ マンセイ カンエン ニ タイシ テノフォビル ガ チョコウシタ イチレイ

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抄録

症例は33歳男性.B型肝炎無症候性キャリアの経過観察中に悪性リンパ腫を発症し,2001年よりラミブジン(LVD)投与が開始された.2005年にbreakthrough hepatitisを発症し,アデフォビル(ADV)追加併用療法に移行した.2007年にはエンテカビル(ETV)単独治療へ変更された.2008年,2回目のbreakthrough hepatitisと悪性リンパ腫の再発を認め,再度LVD+ADV併用療法に変更した.しかし,ALT上昇とウイルス量高値が持続したため,耐性検査が実施された.L80I,L180M,A181T,T184I,M204I/Vの変異を確認し,多剤耐性変異と判断した.倫理委員会承認のもと,テノフォビル(TDF)+LVD併用療法を開始し,ウイルス量の低下と肝炎の改善が得られた.合併する悪性リンパ腫に対して,化学療法後にB型肝炎キャリアである実兄から同種骨髄移植を施行した.移植後ドナー由来の野生株によるウイルス血症を呈したが,治療継続により改善した.今回,多剤耐性変異株,かつドナー由来の野生株ウイルスに対し,TDFが著効した症例を経験したため報告する.<br>

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 53 (1), 35-41, 2012

    一般社団法人 日本肝臓学会

参考文献 (28)*注記

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