開腹噴門形成術における予防的抗菌薬の投与期間についての検討

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タイトル別名
  • Duration of Perioperative Antibiotic Use for Open Nissen Fundoplication
  • カイフク フンモン ケイセイジュツ ニ オケル ヨボウテキ コウキンヤク ノ トウヨ キカン ニ ツイテ ノ ケントウ

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抄録

【目的】周術期の抗菌薬は一般的に手術部位感染(surgical site infection:以下SSI)の予防を目的として投与される.当院で行った開腹による噴門形成術に対する予防的抗菌薬の投与期間とSSI の発生頻度から,適切な投与期間を検討した.<br>【方法】2009 年1 月から2011 年12 月までに当院で開腹による噴門形成術と胃瘻造設を行った44例を対象として,患者背景,抗菌薬の投与期間,術後SSI 発生頻度について検討した.<br>【結果】全例,重症心身障害児(者)であった(手術時年齢2 か月~25 歳(中央値:4 歳)).2009 年は個々の症例に応じて3 ~6 日間投与されていた.2010 年は術後2 日間,2011 年は術後1日間の投与とした.それぞれA 群(3 日間以上の投与):19 例,B 群(2 日間投与):13 例,C 群(1 日間投与):12 例であった.全例,麻酔導入時に抗菌薬(CEZ,PIPC のいずれか)を静注し,30 分以内に手術が開始された.術後は術前と同じ抗菌薬が投与された.術前の患者背景では,気管切開の既往に有意差を認めた.それ以外では3 群間に有意水準0.05 で有意差を認めなかった.この3 群でSSI 発生頻度を比較すると,A 群:2 例(10.5%),B 群:0 例(0%),C 群:0 例(0%)であり,3 群間でSSI 発生頻度に有意差は認めなかった(p>0.05).<br>【結論】術後抗菌薬の投与期間を短縮してもSSI の発生頻度は上昇しなかったことより,開腹による噴門形成術+胃瘻造設術において,術前(術中)投与+術後1 日間の抗菌薬投与でSSI の発生は十分に予防できると考えられた.

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