胆道閉鎖症の病態を呈した肝門部血管内皮腫の1治験例

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タイトル別名
  • A Case of Hemangioendothelioma of the Porta Hepatis With Obstructive Jaundice

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抄録

肝門部に発生した血管内皮腫により閉塞性黄疸を来し,臨床上胆道閉鎖症と鑑別困難であった世界でも極めで稀な1例を報告する.症例は4ケ月女児.主訴は黄疸,灰白色便,肝腫大.生化学検査では閉塞性黄疸のパターンを呈した.リポプロテイン- X は陽性で,便 Schmidt 反応ではビリルビンは検出されなかった.腹部超音波検査では胆嚢の腫大,左肝内胆管の拡張と肝門部での狭窄像を,経皮経肝胆道造影 (PTC) では左肝内胆管のびまん性拡張と,肝門部での左右肝管のしめつけ像を認めた.胆道閉鎖症II型の診断のもとに開腹術を施行すると,肝十二指腸開展が総胆管上部から肝門部にかけて胆道閉鎖症の索状物類似の境界不鮮明な弾性硬の硬総状を呈していた.硬結部を切除し, Roux-Y 型の肝門部空腸吻合による胆道再建を行なった.病理組織所見では,血管内皮腫 (hemangioendothelioma) であった.現在術後37ケ月を経過したが, 再発の徹候はなぐ経過良好である.

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