当科における胆道閉鎖症術後の脾機能亢進症に対する部分的脾動脈塞栓術の検討

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  • Partial Splenic Embolization for Hypersplenism Associated With Biliary Atresia

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抄録

【目的】当科における胆道閉鎖症(BA)術後の脾機能亢進症に対する部分的脾動脈塞栓術(PSE)施行例のretrospectiveな解析から, PSEの血小板増加効果に影響を与え得る因子に関して検討した.【方法】1995年以降に当科のプロトコールに則ってPSEを施行され, 1年以上を経過したBA術後患児10例を対象とした.これらを, PSE前6カ月間の血小板数の平均値に対するPSE 1年後の血小板数の比率(血小板増加率)が2以上の有効群6例と, 2未満の不変群4例の2群に分類し, (1)PSE前の臨床的事項, (2)PSE施行時の状況と所見, (3)PSE後の経過に関する群間の相違を統計学的に比較検討した.【結果】(1)年齢, 脾容積, 血小板数, 肝機能, 内視鏡的に静脈瘤を有する例数は群間に有意差を認めなかった.(2)PSE後1から2週間目に造影CTスキャンにて計測した脾塞栓率は, 有効群が84.7±11.7(平均±SD)%, 不変群が51.6±7.5%と有意差を認め, PSE 1年後の血小板増加率との間にγ=0.723の有意な正の相関を認めた.脾の予測容積に対する非梗塞部の容積比(standardized nonembolized volume of spleen ratio)は有効群が有意に低値を示した.左胃静脈逆流, 短胃静脈逆流, 腎静脈短絡, 脾静脈逆流を有する例数は群間に有意差を認めず, 門脈側副路の形成状況は両群同等であった.(3)発熱日数は群間に有意差を認めず, 全例で一過性かつ軽度の肝機能悪化を認めたが, その程度は両群同等であり, 重篤な合併症を来した例はなかった.【結論】PSEによる有効な血小板増加効果を得るには, 門脈側副路の形成状況と合併症に留意しつつ, 70%以上の脾を塞栓することが必要と思われた.

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参考文献 (13)*注記

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