当院における先天性食道閉鎖症手術症例24例の検討

書誌事項

タイトル別名
  • A Study of 24 Cases With Congenital Esophageal Atresia

この論文をさがす

抄録

【目的】当院で経験した食道閉鎖根治術を行った24例について検討し,術後成績に影響する因子を明らかにすることを目的として検討した.【対象と方法】1975年1月から2003年9月までに当科で経験した先天性食道閉鎖症36例中,根治術を行った24例を生存例17例(A群)と死亡例7例(B群)の2群に分けて,Waterston分類,Montreal分類,Spitz分類,IUGRの有無,羊水過多の有無,妊娠週数,分娩法,出生体重,Apgar score, Retraction score(Silverman-Anderson),盲端に終わる上下食道間の距離(以下GAP)/出生身長,合併奇形ならびに術前の合併症,術後合併症,死亡時期や死因等について検討を加えた.【結果】根治術を行った24例全例がGross C型で,A群は17例(70.8%),観察期間は,術後1年から28年で平均15.0年.B群は7例(29.2%),術後4日目から382日目,平均135日目で死亡にいたった.B群の直接死因においては,呼吸器系合併症の占める割合が高かった.出生前では,IUGR,羊水過多,妊娠週数,分娩法においてA群とB群に有意差は認めなかった.出生後では,出生体重,Apgar score, Retraction score,呼吸窮迫症候群(以下RDS)の有無に有意差を認めた.手術時では,GAP/出生身長はB群において有意に高かった.B群の7例中5例の直接死因は術後の呼吸器系合併症であり,肺炎を高頻度に合併していた.われわれの症例をWaterston分類,Montreal分類,Spitz分類と比較すると,Waterston分類とSpitz分類においてその妥当性に有意差を認めた.【結論】先天性食道閉鎖症の手術症例において,出生体重と術前呼吸器合併症がその予後に強く関係し,Waterston分類,Spitz分類による危険度分類が適切であると思われた.術前術後を通じて,呼吸器系合併症をコントロールすることが予後の向上に重要であることが示唆された.

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

参考文献 (13)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ