滑脱型女児鼠径ヘルニアにおける卵巣壊死症例6例の検討

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タイトル別名
  • Sliding Inguinal Hernia With Ovarian Necrosis in Infants and Children
  • カツダツガタ ジョジ ソケイ ヘルニア ニ オケル ランソウ エシ ショウレイ 6レイ ノ ケントウ

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説明

【目的】女児鼠径ヘルニアのうち卵巣滑脱, 卵巣壊死の症例について検討した.【方法】1983年4月の当院開院以来から2003年12月までの女児鼠径ヘルニア手術症例1,875例に関して, 診療録を後方視的に検討した.【結果】外来診察にて卵巣の脱出が認められた症例は355例であり全症例の18.9%であった.卵巣触知群の発症年齢は83.9%が1歳未満であり, 中でも3カ月未満の例が65.6%を占めた.卵巣触知例の手術時平均年齢は8.1カ月であり非触知例は49.1カ月であった.局所所見から嵌頓(非還納性を含む)と診断された症例が57例で15例は整復し得ずに緊急手術を施行した.そのうち6例で卵巣壊死のために卵巣摘出となった.これら6例のうち卵巣捻転の関与を明らかに出来たのは3例であり, 他の例では手術所見からは捻転を明らかには出来なかった.嵌頓時期は生後4カ月から7カ月であった.ヘルニア初発が卵巣嵌頓であったのは3例であり, ヘルニアに気づかれてから嵌頓するまでの期間は0日が3例, 1カ月1例, 3カ月2例であった.嵌頓期間は0日から3日であり, 嵌頓症状としては局所の硬い腫大4例, 不機嫌4例, 嘔吐4例, 発赤3例, 発熱1例であった.手術に関する合併症は認めず再発もなかった.【結論】卵巣の滑脱を認める場合に, その卵巣が捻転するかどうかを予測することは困難であり, 可及的早期に手術を考慮した方が安全である.しかし初診時に卵巣が捻転壊死している症例が多いことを考えると卵巣滑脱ヘルニアの危険性に関する啓蒙なども必要と思われた.

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参考文献 (16)*注記

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