胆道穿孔をきたした先天性胆道拡張症7例の臨床的検討

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タイトル別名
  • Seven Cases of Choledochal Cyst With Biliary Duct Perforation
  • タンドウ センコウ オ キタシタ センテンセイタンドウ カクチョウショウ 7レイ ノ リンショウテキ ケントウ

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抄録

【目的】先天性胆道拡張症における胆道穿孔は発生率1.8〜12.1%と報告される比較的稀な合併症である.今回われわれは,胆道穿孔をきたした先天性胆道拡張症の7例を経験し,臨床像と治療方針について検討した.【対象と方法】胆道拡張症155例のうち,胆道穿孔をきたした7例(4.5%)について臨床像,治療方針について検討した.【結果】年齢は1〜5歳の乳幼児で,性別は女児5例,男児2例であった.主訴は腹痛,嘔吐であったが,急激な腹膜炎症状をきたした例は少なかった.発症から手術までは,3〜13日であり,5例は胆道拡張症と診断され保存的治療中の穿孔であった.肝外胆管の拡張形態は円筒・紡錘状が6例と多く,穿孔部位は5例が総胆管前壁,2例が後壁であった.治療は全例二期的手術が行われ,初回手術の術式は胆嚢瘻5例,Tチューブ2例で,根治術までの日数は21〜58日であった.根治術時胆管周囲の癒着は中等度から高度であったが,術中術後に問題はなかった.【結論】胆道拡張症の中で,低年齢で胆管の拡張が円筒・紡錘状の例では穿孔のリスクがあり,腹痛発作時には血液データの推移やUSによる経時的な胆管径の計測,腹水のチェックが必要である.治療方針としては,症例によっては一期的根治術も考慮しても良いと思われるが,初回手術で胆嚢瘻造設と腹腔ドレナージを行う二期的手術が安全,確実である.

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