ラット舌骨筋群筋線維構成の比較解剖学的研究

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  • MYOFIBROUS ORGANIZATION OF RAT HYOID MUSCLES

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抄録

舌骨筋群の機能を比較解剖学的に明らかにするために, ラット4頭 (雄2, 雌2) から得られた舌骨筋群の各筋の筋線維をLDH染色によって分別し, 筋腹横断面の筋線維数および3筋線維型の比率と太さを比較検討した.結果は次の通りである.1.筋腹横断面積はラット舌骨筋群の中では顎二腹筋前腹と胸骨舌骨筋が他よりも大であったが, 下肢筋および体幹筋に比べて著しく少で, 性差は認められなかった.2.1mm2中の筋線維数は肩甲舌骨筋は最も少ない部類に属したが, 舌骨上筋群と甲状舌骨筋は比較した下肢筋および体幹筋よりも多かった.3.断面の筋線維総数は顎二塵筋前腹が最も多く, 比較した筋中最少の胸骨乳突筋に匹敵した.4.3筋線維型の比率は白筋線維が最も多い筋は顎二腹筋後腹, 胸骨舌骨筋および肩甲舌骨筋, 赤筋線維が最も多い筋は顎舌骨筋のみで, その他は中間筋線維優位であった.5.3筋線維型の太さは舌骨筋群では常に白筋線維, 中間筋線維, 赤筋線維の順に大で, 下肢筋や体幹筋に比べて白筋線維は著しく小で, 性差がみられなかった.また, 一般に各筋線維型とも胸骨舌骨筋と肩甲舌骨筋が大であったが, 赤筋線維では胸骨甲状筋も大で下顎横筋は常に最も小であった.以上のことから, 検査したラット舌骨筋群の筋線維は一般に白筋系で, 顎舌骨筋のみは赤筋的な要素が多く, 太さは下肢, 体幹の筋よりも著しく小であった.カニクイザルに比べて弱く, 特に舌骨の固定に与る筋ではその傾向が著しく, 系統発生的な運動姿勢の変化の差が舌骨筋群にも現われていると考えられた.

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