ヒト咽頭収縮筋筋線維構成に関する機能解剖学的研究

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  • STUDY OF THE MYOFIBROUS COMPOSITION OF PHARYNGEAL CONSTRICTOR MUSCLE FROM MAN

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ヒトの咽頭収縮筋について, 上, 中, 下各部毎に筋層の厚さ, 1mm2中の筋線維数, 筋線維の太さ, 筋線維の密度並びに病理所見等を比較検討すると共に, その年齢的変化を検討した.対象は解剖学実習屍40例 (男性23例, 女性17例: 平均年齢71歳) で, 下咽頭収縮筋は甲状部と輪状部に区分し, 3筋, 4部位についてセロイジン包埋, 20μ薄切, H・E染色標本によった.結果: 1) 筋層の厚さは咽頭収縮筋の中で下咽頭収縮筋が最も厚く, 中咽頭収縮筋が最も薄い傾向が見られたが, 甲状部と輪状部の間には差がなかった.一般に加齢的に減厚の傾向が認められたが, その傾向は中咽頭収縮筋で最も著明であった.2) 1mm2中の筋線維数は一般に上, 中, 下咽頭収縮筋の順に多く, 男女とも高齢者で少なくなる傾向が認められた.3) 筋線維の太さは, 逆に, 下, 中, 上咽頭収縮筋の順に大で年齢的には男性では60歳代, 70歳代が最も大, 90歳代が最も小, 女性では90歳代が最も大, 60歳代が最も小の傾向が見られた.4) 密度は各部とも60%前後で, 90歳代が男性では最も低く, 女性では最も高い傾向が見られた.5) 病理所見は下咽頭収縮筋輪状部で最も多く, 一般に高齢者で多くの病理所見が現れる傾向が見られた.6) 他の骨格筋に比べて咽頭収縮筋は膜性骨格筋としては薄く, 筋線維は1mm2中の数は少く, 太さは小, 密度は低くて, 結合組織に富むと考えられ, この傾向は加齢的に著明となる事が明らかであった.また内臓骨格筋として喉頭筋に比べて4部問の分化が少なく, 機能的には遙かに単純と考えられた.

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