書誌事項
- タイトル別名
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- THE NEW INTRACRANIAL REVASCULARIZATIONUSING THE MIDDLE MENINGEAL ARTERY
- 中硬膜動脈を用いた新しい頭蓋内血行再建術--その応用についての基礎的検討
- チュウコウマク ドウミャク オ モチイタ アタラシイ トウガイ ナイ ケッコウ サイケンジュツ ソノ オウヨウ ニ ツイテ ノ キソテキ ケントウ
- ―その応用についての基礎的検討―
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説明
現在,脳神経外科領域で頭蓋内虚血病変,脳動脈瘤,脳腫瘍などの疾患の手術に際して様々な血行再建術を併用した手術が行われている.その主な目的は,脳虚血疾患においてはischemic penumbra(虚血に陥っているがまだ可逆性の残されている部分)を如何に救い,症状としてある運動麻痺や失語を改善させることや親血管を閉塞する方が長期予後に望ましい脳動脈瘤疾患の治療に伴う脳虚血の回避にある.現在,行われている血行再建術には,浅側頭動脈(STA:superficial temporal artery)や後頭動脈(OA:occipital artery)などの皮膚の血管をdonor arteryとし,recipient arteryである中大脳動脈(MCA:middle cerebral artery)に吻合する場合や体の他の部位から採取した静脈,動脈をdonor arteryとして使用する場合がある.血行再建術の手技に関してはほぼ確立されているが,この現行の術式では,基本的にdonor arteryを骨に貫通させる必要があることと,また,虚血病変のある患者は頭蓋内の動脈硬化が強いと同時に皮膚自体の循環も悪い場合があり,術後の創部壊死をきたす可能性がある.われわれはこの点に注目し頭蓋内血管である中硬膜動脈(MMA:middle meningeal artery)を利用した小開頭による新しいバイパス術“MMA-MCA bypass”の検討を行った.対象は5体のcadaver brainの両側を使用し,硬膜よりMMAを採取した.その後MMAを露出させたMCAのM2以降の可能な限り近位部に10-0MONOSOFにて10針で吻合した.結果として全ての症例で吻合が可能であり,その後,硬膜を付けたまま脳を摘出し,MCAのどの部分に吻合出来ているかを確認したところ,M2が7例,M3が1例,M4が2例であった.血行再建術は,頭蓋内の血管を利用して行うことが最良と考えられるが,今までこの術式の検討はなされていなかった.今回,MMAを使用してバイパス術を行うことは手技的にも十分可能であった.今後は血流量の評価を行い,実際の臨床での使用が可能となれば今までの合併症の出現が減少すると考えられた.
収録刊行物
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- 昭和医学会雑誌
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昭和医学会雑誌 69 (3), 277-284, 2009
昭和大学学士会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679811583488
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- NII論文ID
- 130000852981
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- NII書誌ID
- AN00117027
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- ISSN
- 21850976
- 00374342
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- NDL書誌ID
- 10528605
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可