上顎犬歯完全埋伏歯の開窓牽引を行った不正咬合治験例

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  • A Malocclusion Treatment Case in which Fenestration-traction of a Completely Impacted Maxillary Canine was Performed

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説明

矯正臨床において, しばしば埋伏歯を伴う不正咬合症例を経験する.埋伏歯は, 歯・歯列・顎骨の発育に対する障害および咬合の確立に影響を及ぼすのみでなく, 埋伏歯が歯根を圧迫している場合, 隣在歯の歯根吸収をきたすことが多いといわれている.本症例は, 初診時年齢13歳2か月の女性で, 上顎右側犬歯の未萌出を主訴として来院した.診断の結果, 上顎右側犬歯の完全埋伏および下顎左側側切歯の欠損を伴う, Angle I級の叢生を呈していた.X線所見から, 上顎右側中切歯には重度な歯根吸収が認められ, 保存不可能と判断した.そこで, 上顎右側犬歯の萌出余地を確保するため上顎右側中切歯を抜去し, 埋伏歯の開窓・牽引を行った.その後, マルチブラケット装置による機能的咬合の確立を行い, 良好な咬合関係を獲得することができた.しかし, 本症例は隣在歯の歯根吸収がすでに認められたため, 審美的にも重要な上顎中切歯を抜去せざるを得なかった.もっと早期に対応することができたなら, 埋伏を予防し不要な抜歯を避けることが可能であったと考えられる.つまり, 埋伏歯の早期発見とその位置関係の正確な診断が, より高い治療目標を達成するために必要だと示唆された.

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