小児頚椎におけるX線学的研究

書誌事項

タイトル別名
  • A RADIOLOGICAL EVALUATION OF THE CERVICAL SPINE IN CHILDREN
  • —MEASUREMETS OF VARIOUS NORMAL VALUES AND A SURVEY OF ALIGNMENT OF THE CERVICAL SPINE—
  • ―頚椎各種標準値の計測およびアラインメントの観察―

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説明

小児頚椎X線計測標準値は様々なものが報告されているが, 脊柱管前後径はその報告が古く, ADI (環椎歯突起間距離) は小児の各年齢ごとの本邦報告例は今だにみない.また, Ranawat値は成人標準値はあるものの, 小児標準値はない.そこで正常小児440例のX線画像計測により, これらの標準値を得, 過去の報告との比較検討を行った.また脊柱アラインメントは, 正常姿勢を考える上で最も重要な要素であるが, これまで正常例で小児期より経年的にそのX線画像上の変化を観察した報告をみない.そこで同時にこの440例の小児期よりのX線画像の観察を通し, アラインメント異常の原因となる小児期での異常所見と, アラインメント異常に至る経年的変化の特徴を調査した.脊柱管前後径は, 今回の計測結果と過去の本邦における報告を比較したところ, 各レベルにおいて平均0.4~0.5mm程度の増大がみられた.これは日本人小児の骨格の発達によるものと推察された.またADIでは, 新たに日本人小児標準値が得られ, これにより各年齢ごとの環軸関節脱臼の指標が得られた.Ranawat値では.今回新たに小児標準値が得られ, 年齢および身長との間に正の相関関係があることがわかり, 身長により標準値を得る関係式, 男子: Y=4.8941+0.068468X, 女子: Y=5.4687+0.063426X [Y (cm) : Ranawat値, X (cm) : 身長] が得られた.全440例中21例, 4.7%に頚椎X線画像上, 矢状面アラインメントの異常を認め, その21例中18例, 86%に初診時のX線画像で, アラインメント異常に至る原因と考えられる異常所見を認めた.その所見の多くは椎体ring apophysis部より終板の異常や椎間のすべりであり, これらより, 正常例アラインメント異常に至る原因の多くは軽度の先天性の頚椎形成障害である可能性が示唆された.その発生頻度は今回のシリーズでは440例中18例, 4.1%と意外に高いことから, 頚椎成長期管理の重要性を認識すべきであると考えた.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679812119552
  • NII論文ID
    130001823491
  • DOI
    10.14930/jsma1939.60.80
  • ISSN
    21850976
    00374342
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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