食物抗原の頻回投与による食物アレルギー慢性モデルマウス作製に関する検討

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タイトル別名
  • HISTOLOGICAL EVALUATION OF NEW FOOD ALLERGY MODEL IN REPEATED OVALBUMIN-SENSITIZED MICE
  • ショクモツ コウゲン ノ ヒンカイ トウヨ ニ ヨル ショクモツ アレルギー マンセイ モデル マウス サクセイ ニ カンスル ケントウ

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説明

近年, 小児の食物アレルギー患者は増加の一途を辿っているが, 発症機序の解明は不十分である.そのうえ現段階では病態解明のための動物モデルが十分確立されていないこともその要因である.そこで今回我々は, 食物アレルギー慢性モデルマウスを確立することを目的に, 食物抗原の頻回投与を行い, その病態について病理組織学的な変化を従来のモデルと比較検討した, 卵白アルブミン (ovalbumin以下OVA) によって感作された食物アレルギーモデルマウスを用いて, 5週間の短期投与群, 11週間の長期投与群での小腸における病理組織学的検討を行った.評価項目は, 小腸の絨毛の長さおよび絨毛100μmあたりの腸管上皮細胞間のリンパ球 (intraepithelial lymphocyte; IEL) 数杯細胞数各標本10分画あたりのcryptopatch (CP) 数とした.短期OVA投与群においてはIELが対照に比して有意に多かった (p<0.05) が, 長期OVA投与群では有意差はなかった.長期OVA投与群では対照に比して杯細胞数が有意に多かった (p<0.05) のに対し, 短期OVA投与群では対照との有意差を認めなかった.絨毛の長さおよびCPについては長期OVA投与群, 短期OVA投与群ともに対照との間に有意な差はなく, また両群間でも有意差は認められなかった.長期OVA投与群での小腸の杯細胞数の増加は, OVA感作による免疫応答が繰り返し生じたことによる修復防御機構の結果と推測された.抗原の長期暴露による食物アレルギー実験モデルの妥当性については, 今後免疫反応の評価も併せた更なる検討が必要であると思われる.

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