骨端線閉鎖時期まで追跡調査した先天性股関節脱臼の治療成績

書誌事項

タイトル別名
  • A FOLLOW-UP STUDY IN PATIENTS WITH DEVELOPMENTAL DYSPLASIA OF THE HIP (DDH) WITH ADULT BONE AGE
  • コッタンセン ヘイサ ジキ マデ ツイセキ チョウサ シタ センテンセイ コ カンセツ ダッキュウ ノ チリョウ セイセキ

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説明

当科において治療した先天性股関節脱臼 (以下DDHと略す) 患者を成人まで追跡調査した.症例は保存治療群と観血的治療群に分けて検討した.保存治療群56例62関節 (男性7女性49) , 平均年齢19.2歳治療はリーメンビューゲル法 (以下RBと略す) 48関節, オーバーヘッドトラクション (以下OHTと略す) 併用3関節, 全身麻酔下徒手整復が11関節であった.最終診察時のSeverin分類で43関節69.3%が1群に属したが, 残りの19関節30.6%が何らかの遺残亜脱臼を有するII群以下に属していた.II群以下の中で6関節は全身麻酔下徒手整復例で, 整復時の関節造影所見において3関節は整復時の関節造影所見で関節唇の内反を認めた.就学期にCE角が10度以下の症例7名7関節中, 最終診察時CE角が20度以上に改善した症例は2名2関節であった.残り4関節中3関節は幼少期に行った関節造影で関節唇の内反を認め補正手術として寛骨臼回転骨切り術 (以下RAOと略す) を行っていた.観血的治療群は17名17関節 (男性2例女性15例) .初回手術はLudloff法が13関節, 減捻内反骨切り術が4関節であった.Ludloff法で求心位が得られず減捻内反骨切り術を追加したものが4関節.遺残亜脱臼を呈し青年期に補正手術を要したのが5関節であった.初回手術の所見として全例関節唇の変形を認め, それが介在物となり十分な求心位が得られなかった事と脱臼という状態が臼蓋の発育になんらかの影響を与えていたと思われた.CE角の推移はcoxamagnaや骨頭変形を生じない症例では良好であった.今回の追跡調査の結果, 明らかな介在物がなくRBで整復された症例の大多数は成人に達したときの単純X線.b, 多少臼底肥厚を残すも, ほぼ正常に成長していた.関節唇の内反・肥厚などにより求心性が得られず整復が阻害され全身麻酔下徒手整復術や観血的整復術まで至った症例は臼蓋形成不全・骨頭変形など何らかの遺残性亜脱臼を呈する症例が多かった.観血的整復に関しては術直後求心位が保たれていれば比較的長期成績も比較的良かった.現在当科ではより求心位を得られやすい広範囲展開法を選択している.RB, OHTで整復されなかった症例は可能な限り骨端線閉鎖まで経過観察する必要があり, 遺残亜脱臼を残した症例に対しては変形性股関節症を予防する上でも患者・家族に説明して適切な時期に適切な補正手術を行うべきである.

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