多精巣症の治療方針

  • 中神 智和
    昭和大学医学部外科学講座小児外科学部門 横浜市北部病院こどもセンター小児外科
  • 土岐 彰
    昭和大学医学部外科学講座小児外科学部門 昭和大学病院小児外科
  • 渡井 有
    昭和大学医学部外科学講座小児外科学部門 横浜市北部病院こどもセンター小児外科
  • 大橋 祐介
    昭和大学医学部外科学講座小児外科学部門 横浜市北部病院こどもセンター小児外科
  • 田山 愛
    昭和大学医学部外科学講座小児外科学部門 横浜市北部病院こどもセンター小児外科
  • 杉山 彰英
    昭和大学医学部外科学講座小児外科学部門 昭和大学病院小児外科
  • 中山 智理
    昭和大学医学部外科学講座小児外科学部門 昭和大学病院小児外科
  • 鈴木 孝明
    昭和大学医学部外科学講座小児外科学部門 昭和大学江東豊洲病院小児外科

書誌事項

タイトル別名
  • Treatment Strategy for Polyorchidism
  • タセイソウショウ ノ チリョウ ホウシン

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抄録

<p>【目的】多精巣症は,「同一固体に3 個以上の精巣が存在する先天奇形」と定義される稀な疾患である.われわれは多精巣症の臨床像,治療方針について検討した.</p><p>【方法】対象は,昭和大学病院および関連病院3 施設において5 年間に経験した多精巣症の5 症例をもとに,後方視的に検討を行った.</p><p>【結果】全例3 歳未満で,左側に存在し,停留精巣の手術を契機に診断した.1 例は片側に3 個の精巣を有し,内2 個は腹腔内に位置していた.4 例は,鼠径管内に2 個の精巣があった.いずれも温存し,精巣固定術を行った.術後,1 例は2 個の精巣すべてに発育を認めた.固定した 2 個の精巣中1 個の精巣に萎縮を認めたのは3 例あり,1 例はすべての精巣に萎縮を認めたため摘出した.</p><p>【結論】余剰精巣は,腫瘍化と造精能の欠如を理由に摘出されることが多い.海外のレビュー140 例中,悪性腫瘍の合併は5.7%で,全例高位に位置していた.造精能の欠如例は26%で,多精巣の50%以上が造精能を有していた.文献的考察から,治療方針として精管との交通性がある小児例では温存し,成人例でも生検後に方針を決めるようにしたい.</p>

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