マウス脾細胞に対するCarrier-Freeのバクテリア由来lipid A成分の免疫原性

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タイトル別名
  • IMMUNOGENIC POTENTIALITY OF BACTERIAL LIPID A COMPONENTS IN CARRIER-FREE FORMS TO MOUSE SPLEEN CELLS
  • マウス脾細胞に対するCarrier-Freeのバクテリヤ由来lipid A成分の免疫原性〔英文〕
  • マウス ヒ サイボウ ニ タイスル Carrier Free ノ バクテリヤ

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抄録

Lipopolysaccharide (LPS) の生物活性と構造の研究から, 近年lipid Aに対する抗体産生が明らかとなって来た.しかしこれらはいずれも血清を用いた反応系であり細胞レベルに於ける解析はほとんどなされていない.本研究は, マウスに於ける抗1ipid A抗体産生細胞系の動態を明らかにする目的で, lipid A刺激に対するリンパ系細胞の反応を, Cunningham法及びRosette法を用いて検討した.<BR>I実験材料と方法<BR>1) Salmonella minnesota R595 (Re mutant) の細胞壁より分離されたglycolipid (2-keto-3-deoxy-octonate-lipid A以下KDO-lipid Aと略す: M W.約6000) 及びlipid A (MW.3000~2500) .<BR>2) 免疫用担体としてR595の菌体を1%酢酸で水解し, KDOを除去した酢酸加熱菌体 (Acid heated bacterial cell以下AHと略す) 及びメチル化ウシ血清アルブミン (MBSA) の2種類を用いた.<BR>3) 動物は, 4週令のddY系雄性マウスを使用した.<BR>4) 抗lipid A抗体産生細胞の検出には, Cunningham法で検討し, R595-alkali-lipid A (以下単にalkali-lipid Aと略す) でcoatingしたヒツジ赤血球 (SRBC) と1×107個/mlの割合に懸濁した脾細胞, 或は胸腺細胞とを混合し, 37℃, 1時間のincubation後出現したplaque-forming cell (PFC) を算定し, 各組織当りの総数を換算した.なおindirect法では, 抗マウスIgG抗体 (Miles) を用いた.<BR>5) ロゼット形成細胞 (RFC) の検出は, Biozziらの方法を用いた, 上記方法で調整された細胞懸濁液とalkali-lipid A coated SRBCとのreaction mixtureを4℃で1夜放置後, RFCを算定した.<BR>II結果<BR>1) AH (200μg, /マウス) とalkali-lipid A (20μg/マウス) conjugateのi.v.投与で数日後に抗 lipid A-plaqueが見出された (約100PFC/脾) これは, MBSAとconjugateした時, 又Freund Adjuvantと共に皮下投与した時にも検出された.<BR>2) R595-glycolipid単独i.p.投与群でlipid Aに対するantibody plaqueが確認されたがlipid A単独投与群では観察されない.<BR>3) しかしながら, この時RFCが, glycolipid投与群と較べて数は少ないとは言え, lipid A群にも出現している.<BR>4) glycolipid単独投与群の胸腺細胞中に抗lipid A抗体産生細胞が見られた.<BR>本実験は, 血清抗体レベルで把握し得なくても感度の高い測定法を用いれば細胞レベルで抗lipid A抗体の産生を認め得る事を明らかに示している.またalkali-lipid Aの免疫原性は極めて弱いがReglycolipid単独でもリンパ系の細胞をPFCやRFCに分化させるabilityの有る事を示し得た.すなわち担体を使用しなくても1ipid Aを動物に投与すれば抗原刺激となり得る事を示している.

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