長期経過を辿り乳癌を疑わせた胸筋由来の結節性筋膜炎の1例

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  • A CASE OF NODULAR FASCIITIS OF THE PECTORALIS MAJOR MUSCLE FOLLOWING A LONG-TERM CLINICAL COURSE AND MASQUERADING BREAST CANCER

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抄録

症例は68歳,女性.9歳時に右前胸部を強打して以降,右乳房の発達不良を自覚していた.1年前より右乳房に圧痛・変形が出現し当科を受診した.右乳房全体に可動性の無いnipple tructionを有する硬結腫瘤を触知した.マンモグラフィはカテゴリー4であった.超音波検査では境界不明瞭で内部不均一な腫瘤を認め悪性腫瘍を疑う所見であった.針生検にて紡錘形細胞の増殖を認めたが確定診断は困難であった.臨床経過や画像所見から右乳癌を否定できず,右乳房腫瘤切除術を施行した.腫瘤と大胸筋との境界は不明瞭で胸筋を一部合併切除した.腫瘍の径は70×70×30mmであった.病理組織診断で胸筋由来の結節性筋膜炎と診断した.<BR>結節性筋膜炎は四肢に好発するが,乳房内や胸筋に発生することは稀である.過去の報告例と比較し臨床経過が長期間で腫瘍径が大きく,乳癌との鑑別に苦慮した症例であったため文献的考察を加えて報告する.

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参考文献 (23)*注記

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