虫垂癌に起因する回盲部周囲膿瘍がS状結腸に穿破した1例

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タイトル別名
  • A CASE OF AN ILEOCECAL ABSCESS THAT RESULTED FROM APPENDIX CANCER AND RUPTURED INTO THE SIGMOID COLON

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抄録

症例は80歳代男性,右下腹部腫瘤を主訴に受診し,CT,USで回盲部周囲膿瘍と診断されたため,当科に紹介された.まず,保存的治療を開始したところ,膿瘍の突然の縮小が認められ,その後の注腸造影,大腸内視鏡検査でS状結腸に膿瘍腔と交通する瘻孔の存在と虫垂開口部の腫瘍が認められた.保存的治療は困難と考えられたため,開腹手術を施行した.膿瘍は回盲部から外側の腹壁,腸腰筋上を被う様に存在した.術中肉眼所見では右側結腸の炎症が先に生じ,S状結腸を巻き込む形で炎症が波及し,癒着,外側からの瘻孔形成に至ったと考えられた.切除標本では虫垂粘膜面から虫垂開口部方向にかけて広基性,隆起性の虫垂腫瘍が露出している所見が認められ,病理組織学的診断により,高分化型腺癌と診断された.<BR>今回,われわれはS状結腸に穿破した回盲部周囲膿瘍の精査中に発見された虫垂癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

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参考文献 (19)*注記

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