胸水を伴った蛋白漏出性胃癌の1例

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タイトル別名
  • A Case of Protein Losing Gastric Cancer Accompanying Pleural Effusion
  • 症例 胸水を伴った蛋白漏出性胃癌の1例
  • ショウレイ キョウスイ オ トモナッタ タンパク ロウシュツセイ イガン ノ 1レイ

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抄録

比較的まれな蛋白漏出性胃癌の1例を経験した.症例は78歳の女性で足のむくみを主訴に近医を受診し,低蛋白血症・貧血を指摘され紹介となった.血清総蛋白・アルブミン値(TP・Alb)3.5・2.1g/dlと低下し,内視鏡でカリフラワー状の隆起性胃癌が認められた.蛋白漏出シンチグラフィーで消化管内への蛋白漏出が確認でき蛋白漏出性胃癌と診断した.低蛋白血症・胸水など全身状態不良であったが,術前の蛋白補正なしで初診より17日目に幽門側胃切除術を施行した.大きさは10.7cmで,組織像で中分化腺癌が乳頭状増殖を呈した.pT2,pN1,M0,Stage IIであった.術直後にアルブミン補充療法を行い,TP・Albが上昇し,胸水も消失して術後経過は順調であった.術後30カ月現在,再発なく健存である.原発巣切除以外で全身状態が改善しないため,蛋白漏出性胃癌では診断後速やかに手術を行うことが重要と考えた.

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