縫合不全に対する予防と対策  I.結腸癌手術における縫合不全の診断と対策

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  • Symptomatic Anastomotic Leakage after Colon Cancer Surgery

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縫合不全にはいまだ共通の定義はなく,施設あるいは個人によって様々な基準が存在している.今回,すべての縫合部やstaple lineの縫合不全による腹膜炎や,瘻孔形成,放射線学的に縫合不全が証明されなくとも腹腔内膿瘍をともなうものを縫合不全と定義して,検討を行った.2004年6月から2009年5月の間に当施設で腸管吻合を行った大腸癌の縫合不全率は2.92%(20/686)であり,結腸癌は1.51%(6/397),直腸癌は4.84%(14/289)と,結腸癌で縫合不全は有意に少なかった(P=0.01).また,結腸癌の縫合不全6例のうち,3例は再手術を要し(再手術率0.76%).1例は経皮的ドレナージを追加し,2例は保存的に軽快した.非手術治療例の縫合不全判明時期はいずれも術後6日目以降であった.最近欧米では,周術期の経過を改善する目的で様々なERASプログラム(Enhanced recovery after surgical programs)が開発され既存の周術期プログラムとの比較や検証が行われているが,結腸癌は術後合併症のリスクが少ないため,このような検討が導入可能な疾患である.<br>

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