VI.外傷性肛門括約筋不全に対する括約筋形成術

  • 山名 哲郎
    東京山手メディカルセンター 大腸肛門病センター

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タイトル別名
  • Sphincteroplasty for Traumatic Anal Sphincter Insufficiency

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肛門括約筋形成術は便失禁を主訴とする外傷性肛門括約筋不全に対する外科的治療の1つとして行われる術式である.外傷性肛門括約筋不全の原因としては経膣分娩時の3度以上の会陰裂傷である分娩外傷が最も多いが,肛門手術(痔瘻,裂肛)や臀部外傷などが原因となることもある.これらの原因の中では分娩外傷による外傷性肛門括約筋不全が肛門括約筋形成術の最も良い適応である.術前検査としては肛門括約筋の欠損部を評価するために肛門管超音波検査を施行する.術式は外肛門括約筋の損傷部位である瘢痕部を剥離し,中央で離断した後に両端を重ね合わせて縫合するオーバーラッピング法が有用である.著者はさらに会陰小体を再建するようにしている.術後はWexnerスコアで50%以上の便失禁症状の改善が得られ,肛門内圧検査では最大随意収縮圧の有意な上昇が認められる.手術後の改善効果は長期的な経過によって低下してくる可能性が指摘されている.

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