視神経炎に関する神経学的観察-その疫学と髄液所見-

書誌事項

タイトル別名
  • Optic neuritis: Studies on the epidemiology and the cerebrospinal fluid
  • 視神経炎に関する神経学的観察--その疫学と髄液処見
  • シシンケイエン ニ カンスル シンケイガクテキ カンサツ ソノ エキガク ト

この論文をさがす

抄録

原因不明のmonosymptomaticな視神経炎および視神経萎縮の60例に対し,アンケートによる初診後の経過を調べ,初診時の髄液検査(39例)の結果と合せ検討した.<br>1) 症例の発症年令は,思春期前および初老期後は著しく少なく,性別は男女同数だが,経過別にみると,緩徐発症慢性経過は男性に,急激発症反復は女性に多い.<br>2) 発症誘因に,発熱・感冒・過労などがあり, MSに類似する.<br>3) 後に神経症状を呈したのは6例で,急激発症例の15.4%にあたる.うちMSへ移行したのは3例7.7%である.球後視神経炎のみに限ると, 18例中3例16.7%である.<br>4) 眼底所見,罹患側,臨床経過などを分析すると,各々,球後視神経炎,両側非同時性,急激発症反復型がMSへの指向を示す.<br>5) 髄液では,軽度細胞数増多,軽度蛋白量増加を示す.蛋白分画ではalbuminの減少, fast α2-glo-bulin+transferrinの増加,γ-globulinの増加の他pre-albuminの増加がうかがえた.<br>6) 眼底所見別にみると,蛋白量は視神経炎で高値であるのに対し, IgG, IgG%は球後視神経炎で増加を示す.罹患側別にみると,片側性および両側非同時性においてγ-globulinの増加を認む.経過別にみると反復型およびMS移行群で,蛋白量,γ-globulinの増加を示す,又MS移行の3例中2例で,初回発作時にMS的髄液所見(γ-globulinの選択的増加, IgG, IgG%の増加)を示した.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ