肉芽組織の増殖に及ぼすhistamineの効果に関する電顕形態学的研究

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  • Electron microscopic study of the histamine effect on granulation tissue growth
  • ニクガ ソシキ ノ ゾウショク ニ オヨボス histamine ノ コウカ

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抄録

1. ラット皮下にホルマリンをしみ込ませた濾紙を埋没して,濾紙周囲に肉芽腫を生成させた. Histamineおよびprednisoloneを濾紙埋没後連日投与し,その肉芽腫生成に及ぼす影響を肉芽腫脱脂乾燥重量および電顕形態学の両面から調べた.<br>2. Histamineおよびprednisolone投与によって肉芽腫重量は対照に比べ著明に抑制された.<br>3. 電顕形態学的には, histamineおよびprednisoloneのいずれの投与によっても肉芽組織の細胞密度の減少が認められた.<br>4. Prednisolone投与によって,肉芽組織の線維芽細胞の粗面小胞体減少および脂肪小滴の増加が認められ,膠原線維の新生が著明に抑制された.<br>5. Histamine投与によって,肉芽腫の形成範囲は限局されるものの,線維芽細胞の粗面小胞体,ミトコンドリアおよびdense bodiesの増加がひき起こされた.また,膠原線維の新生は促進される傾向がみられた.<br>6. 濾紙埋没後7日目までの期間,肉芽組織中のマクロファージ,線維芽細胞および両者の中間型の細胞の総数に占めるマクロフアージの比率は低下し,線維芽細胞の比率は上昇した. Histamineはこれらの細胞の比率の経時的変動を促進した.<br>7. 以上の成績から, histamineは主に線維芽細胞の増殖抑制と分化促進によって,肉芽組織の増殖を抑制するものと推測される.

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