気管支喘息患者におけるPEFとQOLの関係

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タイトル別名
  • Relation between Peak Expiratory Flow and Quality of Life in Asthmatic Patients

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抄録

気管支喘息患者におけるピークフロー(peak expiratory flow;PEF)とQOLの関係を調べるため, 近畿大学医学部付属病院第4内科の外来に通院中の14人の安定期気管支喘息患者を対象とした調査を行った.平均年齢は56.4±13.5歳であった.すべての患者はPEFメーターでPEFをモニターして, その値を喘息日記に記載した.QOLの評価には以下の21の項目を使用した.A:睡眠, B:食欲, C:興味, D:仕事, E:不安, F:家族や友人との関係, G:心配事, H:自分の病気の理解, I:消化器症状, J:将来の希望, K:憂うつな気分, L:医療スタッフヘの満足感, M:職場の同僚との関係, N:本能, O:痛み, P:いらいらした気持ち, Q:宗教, R:神経質な気持ち, S:胸痛(呼吸困難, 咳), T:その他の症状, U:活動範囲, などの評価について週1回記載した.3名の患者で短期間ではPEFとQOLの相関を認めた.PEFとQOLの相関例でPEFが身体的因子と相関する例と心理社会的因子と相関する2通りのパターンがあった.ほとんどの例でPEFの変動は心理社会的因子とともに変動した.しかし, 全症例では平均PEFの変動と平均QOLの間には有意な相関は認められなかった.短期ではPEFとQOLの相関があった症例を認めた.短期では特に急性期の悪化や増悪期において, PEF変動の大きい患者で, QOL因子の変化は症状の変化の検出に役立つものと推定された.長期の観察ではPEFはQOLと相関を示さない例が多かった.これは, QOLの質問項目の内容にも検討すべき点も多く, 今後さらに検討すべき問題と考えられた.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 40 (2), 150-158, 2000

    一般社団法人 日本心身医学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (18)*注記

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