大学生の引きこもりと心身症(大学生のメンタルヘルスと心身症)

書誌事項

タイトル別名
  • The Relation between Social Withdrawal and Psychosomatic Disease in University Students(Mental Health of University Students and Psychosomatic Disorders)
  • 大学生の引きこもりと心身症
  • ダイガクセイ ノ ヒキコモリ ト シンシンショウ

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抄録

大学生の"引きこもり"について, 大学の保健管理センターで関わった12例をもとに報告した.1)性別では男性に圧倒的に多い.2)引きこもり先は自宅の自室とアパートなどに独居している者が同数.3)大学入学以前に不登校の既往のある者よりもない者の方が多い.4)程度では軽度と思われるアパシーや, まったく社会とコミュニケーションの取れない重い症例もいたが, 中間の症例が最も多い.5)アトピー性皮膚炎や気管支喘息などの心身症を合併する症例が多い.6)その後2/3の者は退学した.彼らは精神分裂病による自閉や躁うつ病のうつ病相で"引きこもり"になったわけではないが, なんらかの神経症的症状, 強迫的傾向や対人恐怖症状をもち, 高い自尊心と低い自己評価の間の葛藤に悩むことが多かった.対応・治療では一部の症例は行動や身体面からのアプローチが有効であったが, 多くの症例ではその対人関係上の問題から良好な治療者・患者関係が築けず対応が困難であった.相談件数も増加しており, 大学生のみならず青年期のメンタルヘルス上重大で, 心身医学からのアプローチも今後重要と思われる.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 40 (3), 199-205, 2000

    一般社団法人 日本心身医学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (9)*注記

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