メタボリックシンドローム言説の社会的危険性[第2報] : 批判的医療人類学による社会反応の分析(生活習慣病の心身医学-生活習慣病のターゲット,肥満介入の光と影,2011年,第52回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(横浜))

書誌事項

タイトル別名
  • Social Risk of the Discourse on Metabolic Syndrome (2^<nd> Report) : Analysis of the Social Responses from the Viewpoint of Critical Medical Anthropology(Psychosomatic Medicine for the Lifestyle-related Disease : The Light and Shadow of Obesity Intervention)
  • メタボリックシンドローム言説の社会的危険性(第2報)批判的医療人類学による社会反応の分析
  • メタボリックシンドローム ゲンセツ ノ シャカイテキ キケンセイ(ダイ2ホウ)ヒハンテキ イリョウ ジンルイガク ニ ヨル シャカイ ハンノウ ノ ブンセキ

この論文をさがす

抄録

本稿は,批判的医療人類学の観点からメタボリックシンドローム言説の社会的危険性について明らかにすることを目的とした.批判的医療人類学は,医療人類学の重要な一分野であり,健康・疾病・病いの経験やヘルスケアを形作る政治的・経済的な力の重要性を強調し,医療サービスがヘルスケアの有効性と効率性の改善に向けてより良く提供されるように検討する学問である.メタボリックシンドロームという概念の創出により,現代社会の"ヘルシズム(健康至上主義)"や"医療化"がますます拡大していることが明らかになった.病者や障害者など,「国民の責務(健康増進法第2条)」に従わない者に対して"スティグマ(烙印)"を押しつけ,さらには逸脱者として社会的制裁の対象としてしまう危険性がある.今後は,肥満の背景にある健康格差・貧困問題にも目を向け,健康の"自己責任論"を助長させない対応が大きな課題であろう.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 52 (10), 927-936, 2012

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (22)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ