卵巣淡明細胞癌 (clear cell carcinoma of the ovary) : 自験 5 症例の形態学と発生母地に関する考察

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タイトル別名
  • CLEAR CELL CARCINOMA OF THE OVARY : Its morphology with a review of the literatures on its origin
  • ランソウ タンメイ サイボウ ガン clear cell carcinoma

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卵巣淡明細胞癌5例を光顕的および組織化学的に検索するとともに, 他の悪性卵巣腫瘍との比較を行った。卵巣淡明細胞癌は, 既存の漿液性嚢胞と内膜型嚢胞との関連性が示唆される単房性嚢腫である。組織像は見かけ上の多彩性を示し, その実体は多彩な乳頭状増殖を伴う小嚢胞の形成にある。初期増殖像は嚢胞上皮の乳頭状増殖である。腫瘍細胞は淡明細胞, 暗細胞, 移行型細胞および釘頭型細胞などの形態的多様性を示すが, それらの細胞質には, 硫酸基をもつ酸性粘液多糖体とグリコーゲンが主に証明される。漿液性嚢胞腺癌, 内膜型癌および悪性混合Muller管腫瘍の上皮成分との形態的ならびに組織化学的相似性もみられるが, 淡明細胞癌は形態的な独自性を示す卵巣嚢腫である。以上のような所見および文献的考察から, 卵巣淡明細胞癌の発生母地は, Muller管に由来する多能性卵巣被覆上皮ないしは体腔上皮であると考えられる。

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