Functional dyspepsiaを合併した精神疾患患者の胃十二指腸運動機能(機能性消化管障害の最適治療を求めて,2014年,第55回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(千葉))

書誌事項

タイトル別名
  • Gastrointestinal Motility Disorders in the Patients with Mental Disease who Had the Functional Dyspepsia(Searching Optimal Treatment for Functional Gastrointestinal Disorders)
  • Functional dyspepsiaを合併した精神疾患患者の胃十二指腸運動機能
  • Functional dyspepsia オ ガッペイ シタ セイシン シッカン カンジャ ノ イ ジュウニシチョウ ウンドウ キノウ

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抄録

ストレスと消化管運動機能異常との関連性を示した報告は多くあるが,functional dyspepsia(FD)を合併した精神疾患患者の胃十二指腸運動機能を多項目で一度に評価した報告はみられない.今回われわれは,FD症状を合併した精神疾患患者の胃十二指腸運動と腹部症状,うつや不安の程度を評価し,特徴となる傾向があるかを検討した.対象:川崎医科大学附属病院総合診療科と心療科の両方を受診したFDを合併した精神疾患患者23例(男性7例,女性16例,年齢16〜78歳,中央値38歳).FDの診断基準はRome IIIを用いた.方法は既報のごとく超音波を用いた胃十二指腸運動機能検査を行い,4つの項目で運動機能を評価した.また,腹部症状やうつと不安の自己記入式質問票(GSRS,HADS)を実施した.結果:精神疾患は適応障害5例,抑うつ障害4例,不安障害とパニック障害6例,身体症状症3例,双極性障害,統合失調症,神経発達障害,強迫性障害,摂食障害が各1例であった.胃十二指腸運動機能検査では,近位胃拡張率低下が12例(52.2%),胃排出率低下が9例(39.1%),前庭部運動能異常が5例(21.7%),十二指腸胃逆流増加が11例(47.8%)にみられたが,各疾患に特徴的な機能異常はみられなかった.FD症状の程度はうつや不安の程度と正の相関がみられ,胃排出率とも相関がみられたが,うつや不安の程度と胃排出率には相関は認めなかった.消化管運動機能の改善はうつや不安の改善に間接的に関与する可能性があり,精神科薬と併用すべき薬剤としては,近位胃拡張能を改善させ,十二指腸胃逆流を減少させる消化管運動機能改善薬が有用と考えられた.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 55 (3), 233-238, 2015

    一般社団法人 日本心身医学会

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