災害における喪失・悲嘆への全人的ケア(東日本大震災支援プログラム,2011年,第52回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(横浜))

書誌事項

タイトル別名
  • Holistic Care for Loss and Grief Resulting from Disasters(Assistance Programs of the Great East Japan Earthquake)
  • 災害における喪失・悲嘆への全人的ケア
  • サイガイ ニ オケル ソウシツ ・ ヒタン エ ノ ゼン ジンテキ ケア

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抄録

筆者は,阪神・淡路大震災の1年後に神戸赤十字病院に新設された心療内科に赴任し,15年間にわたり復興期の被災者の心身医学的ケアに携わってきた.また,新潟県中越地震で救護班として活動した経験を通して,被災者には身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな「全人的なケア」が,急性期から慢性期・復興期にわたって必要とされるものだと考えるに至った.災害とはまさしく同時多発的な喪失体験である.特に今回の東日本大震災においては,津波による家屋や家財道具などのすべての喪失,大切な家族や友人との死別,自身の健康障害,職業や経済的損失,住み慣れた故郷の街の風景やコミュニティの喪失,原発事故による影響など,複合的な喪失体験があると考えられる.特に遺族の悲嘆は深く大きく,遺体と対面できない場合はより複雑化し,長期的なグリーフケアが必要とされるだろう.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 52 (5), 373-380, 2012

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (12)*注記

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