ヒトの[足の]長母指屈筋の動脈分布について

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タイトル別名
  • On the Arterial Supply in the Human Flexor Hallucis Longus Muscle

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説明

当教室の研究の一環として,ヒトの骨格筋内の栄養動脈の分布に関する研究を行なっている。本論文では,日本人・成人10体20体側例の〔足の〕長母指屈筋の動脈中にアクリル色素を注入し,筋中の栄養血管の分布状態等について検索した所見を報告する。1)血管の分布状態による分類および頻度。I型:腓骨動脈(Pe)のみが分布するもので,本筋のみを栄養する枝(Rfhl)と他筋との共同幹(om)がある(70%)。II型:I型に固有後脛骨動脈(Tpp, SATO, '84)の枝が加わったもの(25%)。III型:I型に総後脛骨動脈(Tpc, SATO, '84)の枝が加わったもの(5%)。2)栄養血管の分布領域は,I型:Pe(Rfhl) 78.1%およびPe(om) 21.3%,II型:Pe(Rfhl) 70.1%, Pe(om) 24.9%およびTpp 5%,III型:Pe(Rfhl) 58.5%, Pe(om) 34.3%およびTpc 7.3%であった。栄養動脈の総数は9本から22本までで,出現頻度の最も多い本数は12本(30%)であった。3)本筋の停止腱の上部が筋腹の上部から表面に出現する表在型(S型,30%)と,上・中部では筋束中に存在する深在型(P型,70%)が認められ,また本筋の支配神経(脛骨神経の筋枝)は上・中部筋束に分布する上枝と下部筋束のみに分布する下枝の2枝が存在した。また,日本人では非常に珍らしい,停止腱が分岐せず,母指の末節骨底に停止する1例を認めた。

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