従業員の自殺を経験した中小製造業A社における再発防止の取り組みとその効果

書誌事項

タイトル別名
  • A Case Study of Efforts and Effects in Tacking with Recurrence Prevention of a Tragedy in a Small (Midsize) Company where an Employee had Committed Suicide
  • 症例研究 従業員の自殺を経験した中小製造業A社における再発防止の取り組みとその効果
  • ショウレイ ケンキュウ ジュウギョウイン ノ ジサツ オ ケイケン シタ チュウショウ セイゾウギョウ Aシャ ニ オケル サイハツ ボウシ ノ トリクミ ト ソノ コウカ

この論文をさがす

抄録

従業員の自殺を経験した中小製造業A社において,医療人類学的なアプローチで従業員の苦悩を拾い上げ,心身医学的な視点で再発防止対策を行った結果,同社に生じた変化を明らかにすることを目的とした.11名の対象者から聴き取り調査を行った結果,彼らはさまざまな苦悩を抱えていることがわかった.社内の人間関係が希薄化し,孤独を感じている人が多かった.経営者が重視する創業当初からの企業文化に根ざした業務体制や手順が,彼らを苦しめていた.経営者も従業員も,お互いに生活者としての側面を理解していなかった.苦悩の要因となっていた業務体制や手順などを変更し,メンタルヘルス教育を推進した結果,経営者と従業員に,相互に理解しケアしあう行動の変化がみられた.心身医学的な視点で従業員個人の社会文化的背景を理解し,それらの側面に働きかけることや対話を促進することによって,従業員の心身の健康を増進できる可能性が示された.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 54 (7), 692-702, 2014

    一般社団法人 日本心身医学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ