自己の身体イメージの矮小化を認めたCotard症候群の一例

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タイトル別名
  • A Case of Cotard's Syndrome in Which the Patient Had a Dwarfed Image of Her Body

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説明

息子の自殺を契機に抑うつ状態となり,被害・貧困妄想に加え,自己の身体のみならず外界や家族に対してもそれら知覚対象の倭小化というかたちでの否定妄想を認めた63歳主婦の症例を報告した。メランコリー性の不安,否定観念および経過により,かつてCotard, J.の明らかにした否定妄想病の概念にほぼ相当するもの(不全型)と考えられる。本症例の特徴は,自己の身体イメージの矮小化がその経過に伴い増強するとともに家族に対してもそれらの変容感を認め,本人の家族内精神力動を反映したものであったことである。本症例の成因として,病前性格,心理的要因,生活史と退行期心性および加齢に伴う脳の代償予備能の低下等が考えられた。

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