膵島過形成を伴った低血糖症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Hypoglycemia with Islet Cell Hyperplasia
  • スイトウ カケイセイ オ トモナッタ テイケットウショウ ノ 1レイ

この論文をさがす

説明

症例は28歳女性.幼少時より低血糖症状を認め妊娠,出産を契機として増悪.2回にわたる治療的膵切除術を施行されるも効果は一時的であり当科入院となった.インスリノーマ,各種内分泌機能不全,インスリン自己免疫症候群,腫瘍性低血糖症などの疾患は低血糖の原因疾患として否定的であった.本症例は膵病理組織像にて膵島過形成との診断がなされており,これらによるインスリンの相対的分泌亢進が低血糖症の原因と考えられた.症例の娘も低血糖症状にて突然死していることから遺伝性疾患が疑われるが,本症例の末梢血における検索ではSUR 1/Kir 6.2, グルコキナーゼなどの遺伝子異常は認められなかった.また経口糖負荷後のGLP-1の血中濃度は上昇しており低血糖の一因となっている可能性も考えられた.本症例のように原因不明の難治性低血糖症をきたす症例は散見され若干の文献的考察を加えて報告する.

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 50 (2), 153-158, 2007

    一般社団法人 日本糖尿病学会

参考文献 (11)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ