ビタミンB1欠乏症による歩行障害を呈した2型糖尿病の1例

  • 村田 敬
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター糖尿病センター
  • 伊藤 佳代子
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター神経内科
  • 高木 洋子
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター栄養管理室
  • 森 栄作
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター糖尿病センター
  • 安藤 理子
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター糖尿病センター
  • 中川内 玲子
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター糖尿病センター
  • 阿部 恵
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター糖尿病センター
  • 河野 茂夫
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター糖尿病センター
  • 山田 和範
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター糖尿病センター
  • 葛谷 英嗣
    独立行政法人国立病院機構京都医療センター糖尿病センター

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Type 2 Diabetes Mellitus Complicated with Gait Disorders Due to Thiamine Deficiency

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説明

症例は2型糖尿病の男性(49歳),前医にてインスリンおよびエパルレスタットの処方を受けていたが,歩行障害悪化を主訴に来院.BMI 14.9 kg/m2, 下肢優位で左右対称な軽度筋力低下,下肢優位の小脳失調症状を認めた.HbA1c 15.6%, 糖尿病網膜症なし,神経伝導速度は運動・感覚ともに低下.入院後,次第に筋力低下と歩行機能が改善.入院時の残血清中ビタミンB1濃度は0.6 μg/dlと低値.フルスルチアミン100 mg/日の点滴を行ったところ,筋力回復し,軽快退院した.管理栄養士による聞き取り調査では白米中心の偏食傾向があり,ビタミンB1の推定摂取量は0.5 mg/日と所要量(1.2 mg/日)の半分程度であった.以上のような検査結果・臨床経過から総合的に判断して,本症例の歩行障害の主因はビタミンB1欠乏症による脚気神経炎であった可能性が高いと診断した.脚気神経炎は糖尿病性多発神経障害と症状が似ており,つねに鑑別診断として念頭におく必要がある.

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 51 (9), 845-848, 2008

    一般社団法人 日本糖尿病学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679882604800
  • NII論文ID
    130004511122
  • DOI
    10.11213/tonyobyo.51.845
  • ISSN
    1881588X
    0021437X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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