牛車腎気丸で原因不明外陰部痛が軽快するとともに排尿障害が改善した一例

  • 沢井 かおり
    慶應義塾大学医学部漢方医学センター 横浜市立市民病院産婦人科
  • 松浦 恵子
    慶應義塾大学医学部漢方医学センター
  • 今津 嘉宏
    慶應義塾大学医学部漢方医学センター
  • 西村 甲
    慶應義塾大学医学部漢方医学センター 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部鍼灸学科
  • 渡辺 賢治
    慶應義塾大学医学部漢方医学センター

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Vulvodynia with Dysuria Effectively Treated with Goshajinkigan
  • 臨床報告 牛車腎気丸で原因不明外陰部痛が軽快するとともに排尿障害が改善した一例
  • リンショウ ホウコク ゴシャジンキガン デ ゲンイン フメイ ガイ インブツウ ガ ケイカイ スル ト トモニ ハイニョウ ショウガイ ガ カイゼン シタ 1レイ

この論文をさがす

抄録

女性の外陰部痛は,炎症,外傷,腫瘍,加齢による萎縮乾燥などで生じるが,原因不明の場合はVulvodyniaと称され,しばしば難治性で,治療に難渋することがある。今回,牛車腎気丸で原因不明外陰部痛が軽快した症例を経験した。症例は92歳女性,2~3時間続く腟から尿道にかけての痛みが頻発し,夜間長時間眠れないため受診した。漢方医学的に,虚実中間証,寒証で,瘀血,腎虚の所見が認められた。高齢で,腎虚があり,尿路系の症状があることから,牛車腎気丸を処方したところ,夜間に痛みで起きる日が少なくなり,日中の外陰部痛も,著明に軽快した。また,時々起こしていた尿閉も起こさなくなった。難治性の原因不明外陰部痛では,補腎剤も治療の重要な選択肢のひとつと思われる。さらに排尿障害も改善し,複数の障害が一剤にて改善されるという,西洋薬にはない漢方治療の有用性が示された。

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

参考文献 (27)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ