糖尿病患者におけるインフルエンザA(H1N1)pdm09ワクチンの免疫原性

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タイトル別名
  • Immunogenicity of an Inactivated Vaccine against Influenza A (H1N1) pdm09 Virus in Diabetic Patients
  • トウニョウビョウ カンジャ ニ オケル インフルエンザ A(H1N1)pdm09 ワクチン ノ メンエキ ゲンセイ

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抄録

糖尿病患者はインフルエンザに罹患すると重篤化する懸念がある.当該患者集団でのワクチンの免疫原性の検討は重要である.2009/2010シーズンに,外来通院中糖尿病患者49人にA(H1N1)pdm09ワクチンを2回接種し,解析は48人で行った.免疫原性の指標として幾何平均抗体価(GMT),平均上昇倍数(MFR),抗体保有率(SP),抗体応答率(SR),抗体陽転率(SC)を算出した.抗体応答との関連因子として接種前HI価,年齢,HbA1cなどについて検討した.ワクチン接種後,いずれのカテゴリーにおいてもGMTの上昇は有意であり,全体の1回目接種後(S1)MFRは5.3倍であった.全例解析でSPはS1で52 %,2回目接種後(S2)で54 %,SRはS1で69 %,S2で77 %,SCはS1で46 %,S2で48 %であった.MFRとSCの結果から,本対象での抗体誘導は欧州医薬品審査庁の基準を満たした.接種前HI価とSPに正の関連,年齢とSRに負の関連を認めたが,糖尿病関連因子と抗体応答との間には有意な関連を認めなかった.本結果は,糖尿病の進行が直ちにワクチンの免疫原性の低下に関与するとは言えないことを示唆し,接種禁忌でない糖尿病患者にワクチン接種を推奨することには合理性があると考えられた.<br>

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 56 (4), 219-226, 2013

    一般社団法人 日本糖尿病学会

参考文献 (18)*注記

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