双胎妊娠における試験経腟分娩の成績と新生児予後

書誌事項

タイトル別名
  • Maternal and Neonatal outcome after Planned Vaginal Delivery of Twins
  • 双胎妊娠における試験経膣分娩の成績と新生児予後
  • ソウタイニンシン ニ オケル シケンケイチツブンベン ノ セイセキ ト シンセイジ ヨゴ

この論文をさがす

抄録

近年,生殖補助医療による妊娠成立に伴い,双胎妊娠の増加が指摘されている。双胎妊娠はハイリスク妊娠を引き起こす要因だが,分娩自体もハイリスクであり,帝王切開分娩 (以下,帝切分娩) が選択されることが多い。当院では一定の条件を満たす症例には本人の同意を得て経腟分娩を試行しており,双胎妊娠の分娩様式,経腟分娩の経過および早期新生児予後について今回調査してみた。平成17年1月1日~平成21年12月31日までの5年間に妊娠22週0日以降に分娩した5,464例を調査対象とし,その中の双胎分娩251例 (4.6%) について分娩台帳録,詳細については入院産科診療録を参照して調査した。<br> 分娩時週数は妊娠33~36週の分娩が46%と最多を占め,妊娠37週以降の正期産での分娩は41%であった。分娩方法は帝切分娩が65%,経腟分娩が33%,第一児経腟・第二児帝切分娩が2%の割合であった。帝切分娩の適応では希望帝切が50%と最多を占めた。経腟分娩試行例 (90例) では頭位/頭位で92% (64/69例),頭位/骨盤位で86% (18/21例) とそれぞれ高い成功率が得られた。新生児予後については,経腟分娩試行例の1分後アプガールスコア0~3点の重症仮死が4.5% (8/180児),4~6点の軽症仮死は3.3% (6/180児) にみられた。これを母体換算すると重症仮死が8.9% (8/90母),軽症仮死が6.7% (6/90母) に倍増しかなりの高頻度となった。一方,長期予後に関連する5分後アプガールスコアでは重症仮死が1.7% (3/180児),軽症仮死は1.1% (2/180児) に低減していた。1分後の軽症および重症仮死症例14例中11例が第二児であり,その11例中に臍帯脱出が5例,胎盤早期剥離が3例みられた。第二児の緊急帝切分娩の頻度が5.6% (5/90),また経腟分娩成功例でも仮死の頻度が高い傾向にあることから,双胎分娩の経腟分娩は新生児科専門医と麻酔科専門医が常駐し,すみやかな緊急帝切と新生児蘇生が可能な施設で試行すべきと考えられた。

収録刊行物

参考文献 (8)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ