肝吸虫症に合併した肝内胆管癌の1例

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  • Intrahepatic Bile Duct Carcinoma with Clonorchiasis

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抄録

症例は62歳の男性で,健康診断にて胆道系酵素上昇を指摘され,当院を受診した.画像検査で肝左葉に直径3 cmの腫瘤性病変と,その近傍に拡張した肝内胆管を認めた.胆汁細胞診はclass IIであったが,多数の肝吸虫の虫卵が証明された.本患者にはフナの生食の嗜好歴があった.Praziquantelを内服後,肝吸虫症に合併した肝内胆管癌と考え,肝左葉切除術を施行した.病理組織学的検査は低分化型腺癌であった.腺癌周囲にはリンパ球浸潤や線維化が生じており,慢性胆管炎後の変化が見られた.胆管内には結石などその他の慢性炎症の原因となるものはなく,本症例は肝吸虫症による慢性炎症が胆管癌発生に関与したと考えられた.淡水魚の生食歴などがあれば,糞便検査や十二指腸液検査などを行い,肝吸虫や虫卵を認めた場合は,駆虫するとともに胆管癌合併の可能性を考慮する必要がある.

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