パプアニューギニア高地人の基礎代謝

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タイトル別名
  • BASAL METABOLISM OF PAPUA NEW GUINEA HIGHLANDERS
  • パプア ニューギニア コウチジン ノ キソ タイシャ

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説明

サツマイモを主食とするパプアニューギニア高地人 (PNG高地人) 男性15名の基礎代謝量 (BMR) を1980年および1982年に現地で呼気ガス分析による間接熱量測定法により求めた.<BR>A.被検者を実験1, 2および3の各グループに分けた.実験1ではタンパク質1.4g/kg, エネルギー約44kcal/kgの白米普通食を13日間投与した後, タンパク質0.69/kg, エネルギー約43kcal/kgの白米低タンパク食を13日間投与した.実験2ではタンパク質0.59/kg, エネルギー約95kcal/kgのサツマイモ食を14日間投与した後, タンパク質0.39/kg, エネルギー約50kcal/kgのサツマイモ低タンパク食を14日間投与した.実験3では無タンパク食をエネルギー約49kcal/kgで11日間投与した.いずれの実験食も投与エネルギーは体重維持を目標として設定した.<BR>B.全実験グループの実験開始時の平均BMRは24.7±2.3kcal/kg/日 (38.0±3.3kcal/m2/時) であった.また, 白米普通食, 白米低タンパク食, サツマイモ食, サツマイモ低タンパク食および無タンパク食の各実験期末平均BMR成積はそれぞれ22.1±2.7kcal/kg/日, 21.2±1.4kcal/kg/日, 21.2±19kcal/kg/日, 22.1±1.6kcal/kg/日および25.3±2.2kcal/kg/日 (35.1±4.1kcal/m2/時, 33.6±2.6kcal/m2/時, 32.3±2.3kcal/m2/時, 33.3±2.2kcal/m2/時および38.3±4.0kcal/m2/時) であった.<BR>C.実験開始前の被検者の日常食はサツマイモ食とほぼ同じ内容であり, タンパク質摂取レベルは白米低タンパク食とも近い.しかしながらサツマイモ食と白米低タンパク食におけるBMRは実験開始時のBMR (コントロール) より有意に低かった.また, 日常食より高いタンパク摂取レベルである白米普通食や無タンパク食のBMRとコントロールの間には差がみられなかった.以上の結果からは被検者のBMRとタンパク質摂取レベルとの関係は明らかではなく, 本実験の成積からはタンパク質摂取レベルがBMRに影響を及ぼしているとは云えない.<BR>D.BMR測定時の呼吸商 (RQ) は0.91~0.99と高い値を示した.その理由として, 体グリコーゲン保有量の多さやアミノ態窒素の保留を伴なうアミノ酸の燃焼および血中遊離アミノ酸による糖代謝亢進の可能性につき考察した.

収録刊行物

  • 体力科学

    体力科学 37 (4), 296-302, 1988

    一般社団法人日本体力医学会

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