筋弛緩動作の遅速とその要因について (II) 一過性の張力発揮との関連

書誌事項

タイトル別名
  • TRANSIENT DEVELOPMENT OF TENSION AT VOLUNTARY MUSCLE RELAXATION IN HUMAN ARM MUSCLES
  • 筋弛緩動作の遅速とその要因について-2-一過性の張力発揮との関連
  • キンシカン ドウサ ノ チソク ト ソノ ヨウイン ニ ツイテ 2 イッカセイ

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抄録

敏速な筋弛緩動作時に発現する一過性の張力発揮現象と筋放電消失の遅速との関連を明らかにする目的で本実験を行なった.被検者は肘関節を90度に固定し, 最大屈腕力の5, 10, 15及び20%の筋力を数秒間持続発揮した.ついで光刺激に反応し, 拮抗する両筋の活動を敏速に休止する, いわゆる脱力動作を行なった.筋弛緩時間は, 張力低下開始時と上腕二頭筋の放電消失時との差から求めた.また張力発揮時の上腕二頭筋の周径変化をラパーゲージにて記録した.<BR>(1) 弛緩動作時の張力変化は, 光刺激後, 約100msecで一度低下し, 再び上昇するという2相性を示した.<BR>(2) 2相性の張力変化の発現率は, 持続筋力値の増加に従い増大した.<BR>(3) , 張力増加量は, 持続筋力値の3%以下, また張力上昇時間は, 80msec以下であった.一方, 張力低下量は, 増加量より少ない傾向にあった.<BR>(4) 筋弛緩時間は, 張力発揮現象の発現時程, 速かった.また15及び20%MVCの条件下で, 張力増加量と筋弛緩時間との間に負の相関を認めた.<BR>(5) 上腕二頭筋の周囲径は, 張力増加に同期して増大した.また両者間に有意な相関があった.以上の成績から, 一過性の張力発揮時に筋の短縮が生じ, 同時に筋の感覚情報も減少し, ついで脊髄運動神経細胞への興奮性入力の低下をきたし, その結果, 持続的筋活動の停止が促進された, と推察される.

収録刊行物

  • 体力科学

    体力科学 36 (3), 128-137, 1987

    一般社団法人日本体力医学会

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