Polypedilum 属ユスリカ数種の呼吸生理学的特性の違い

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タイトル別名
  • Differences in properties in respirational physiology among some chironomid species of the genus Polypedilum

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抄録

Polypedilum属ユスリカ幼虫5種について, 室内飼育実験により, その酸素消費量, 嫌気条件下での生残及びヘモグロビン(Hb)の含量と組成を調べた。その結果, 酸素消費量の平均値はP. masudaiが最も高く, P. nubiferが最も低かった。嫌気条件下での生残率はP. asakawaenseでは10時間後に約10%まで低下したのに対し, P. nubiferでは40時間後でさえまだ15%であった。50%生残時間はP. nubiferで最も長く, P. asakawaenseで最も短かった。HbのPAGE解析ではP. masudaiのパターンはP. japonicumのそれにかなり類似していたが, 他の3種はこれら2種に類似した組成は示さず, しかもこの3種の間に著しい違いが見られた。Hbバンドのうちのあるものはそれぞれ2種から全種に共通であり, あるものは特定の1種に特異的であった。0.4%の牛乳を含む寒天培地を用いた飼育条件下では, Hb量は0.08%でのそれに比べて, P. asakawaenseとP. nubiferで, それぞれ1.4倍及び2倍に増加した。一方, P. cultellatumでは, 2%の牛乳を含む寒天培地では, Hb量は0.08および0.4%でのそれらに比べて低下した。さらに, いずれの種の場合でも, あるバンドは培地の牛乳含有量の増加に伴って現れる傾向を示し, これは, これらのHbが酸素の乏しい条件下で効率良く酸素を輸送する役割を担っていることを示唆すると考えられた。

収録刊行物

  • 衛生動物

    衛生動物 51 (3), 179-185, 2000-09-15

    日本衛生動物学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (19)*注記

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