子宮筋腫術後に転移再発を繰り返す平滑筋腫瘤の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Smooth muscle tumor that repeats recurrence of metastasis after myomectomy: a case report
  • 症例報告 子宮筋腫術後に転移再発を繰り返す平滑筋腫瘤の1例
  • ショウレイ ホウコク シキュウ キンシュ ジュツゴ ニ テンイ サイハツ オ クリカエス ヘイカツ キンシュリュウ ノ 1レイ

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説明

<p>子宮筋腫摘出後,腹壁に平滑筋腫瘍の再発を繰り返し,病理学的に良性平滑筋腫,STUMPと摘出時期によって異なる診断をされた症例を経験したので報告する.症例は未経妊で36歳時に他院で腹式子宮筋腫核出術(下腹部横切開)を施行した.41歳時から過多月経があり,前医を受診した.鉄欠乏性貧血を認め,MRIにて子宮後壁に100mmの内部に水腫様変性を伴う筋腫を指摘され,当科紹介受診となった.術前にGnRHa療法を行い,腹式子宮筋腫核出術(下腹部正中切開)を施行したところ,変性平滑筋腫であった.44歳時に,MRIにて子宮体部右背側筋層内に94mmの強い変性を伴う腫瘤と下腹部正中切開創部付近の腹直筋筋膜上に55mmの腫瘤を認めた.腹式単純子宮全摘出術と腹壁腫瘤摘出術を施行した.また腹膜腫瘤も切除した.子宮体部にみられた腫瘤は変性した腺筋腫であった.腹壁と腹膜の腫瘤は同じ組織像を呈し,核分裂像2-3/10HPF(high power field)であったが,Ki-67が10%弱のやや高い指標を示し,STUMPの診断となった.45歳時に,左右卵巣にそれぞれ51mm,70mmの多房性嚢胞性病変と5mm程度の腹壁小結節を認めた.偽嚢胞を疑い,GnRHa療法を3クール行ったが,両側卵巣嚢胞性病変は増大傾向で,卵巣腫瘍の可能性が否定できず,腹式両側付属器摘出術と腹壁腫瘤摘出術を施行した.両側卵巣病変は偽嚢胞で,腹壁小結節は平滑筋腫再発であった.46歳から下腹部正中創付近の腹直筋筋膜上に小結節再発と右腹直筋下に嚢胞性腫瘤を認めた.アナストロゾール療法は無効であり,49歳時に腹壁再発腫瘍切除術を施行したところ,STUMP再発であった.本症例では,原発子宮腫瘍と腹壁平滑筋腫あるいはSTUMPが同一のクローンであることは検討していないが,臨床経過から子宮から発生し転移能を有した平滑筋細胞が,転移先において異なるKi-67 labeling indexを示したと考えている.〔産婦の進歩69(4):378-385,2017(平成29年10月)〕</p>

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