妊娠悪阻に合併した肺血栓塞栓症に対し,妊娠13週で遺伝子組み換え組織プラスミノゲンアクチベーター静注療法を施行し,生児を得た1例

  • 松原 翔
    地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター産婦人科
  • 安川 久吉
    地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター産婦人科
  • 小川 憲二
    地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター産婦人科
  • 永井 景
    地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター産婦人科
  • 平松 惠三
    医療法人平成会平松産婦人科クリニック
  • 赤田 忍
    地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター産婦人科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of pulmonary thromboembolism caused by hyperemesis gravidarum, successfully treated using recombinant tissue plasminogen activator at 13 weeks of pregnancy
  • 症例報告 妊娠悪阻に合併した肺血栓塞栓症に対し,妊娠13週で遺伝子組み換え組織プラスミノゲンアクチベーター静注療法を施行し,生児を得た1例
  • ショウレイ ホウコク ニンシン ツワリ ニ ガッペイ シタ ハイ ケッセン ソクセンショウ ニ タイシ,ニンシン 13シュウ デ イデンシ クミカエ ソシキ プラスミノゲンアクチベーター ジョウチュウ リョウホウ オ シコウ シ,セイジ オ エタ 1レイ

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説明

<p>肺血栓塞栓症は,妊娠中の母体死亡の原因となる重篤な疾患であり,近年増加傾向にある.今回われわれは,妊娠悪阻を契機に妊娠11週で肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism;PTE)を発症し,妊娠13週で遺伝子組み替え組織プラスミノゲンアクチベーター(recombinant tissue plasminogen activator;rt-PA)静注療法を施行した後に妊娠37週で生児を得た症例を経験したので報告する.症例は29歳,1回経妊1回経産.妊娠10週ごろから悪阻症状を認めており,連日補液を施行していた.妊娠11週ごろから息切れならびに咳嗽症状があり,造影CT検査で肺血栓塞栓症と診断した.肺血栓塞栓症に対してヘパリンによる抗凝固療法,経カテーテル血栓吸引術を施行したが右心負荷所見の改善を認めなかったため,妊娠13週でrt-PA製剤を投与した.rt-PA製剤使用後は呼吸苦ならびに右心負荷所見の著明な改善を認め,その後全妊娠期間においてヘパリンによる抗凝固療法を継続し,妊娠37週6日で陣痛誘発を行い経腟分娩にて生児を得た.児は3040gでApgar scoreは9点(1分値),10点(5分値)で明らかな奇形を認めなかった.母児ともに経過良好で産褥10日目に退院となった.rt-PAは妊婦に対しての使用は相対禁忌となっており,妊婦に対する投与は検索した限り本邦で8例目であった.これまで本邦におけるrt-PAの妊娠中の使用において重篤な合併症の報告はなく,高分子量体であるため胎盤を通過しないことから母体救命を目的とした使用は許容されると考えられた.〔産婦の進歩69(4):386-392, 2017(平成29年10月)〕</p>

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