書誌事項
- タイトル別名
-
- Amniotic fluid embolism with different clinical manifestations of uterine hemorrhage: report of three cases and literature review
- 症例報告 異なる出血の様相を呈した臨床的羊水塞栓症 : 3症例の報告と文献的考察
- ショウレイ ホウコク コトナル シュッケツ ノ ヨウソウ オ テイシタ リンショウテキ ヨウスイ ソクセンショウ : 3 ショウレイ ノ ホウコク ト ブンケンテキ コウサツ
この論文をさがす
抄録
<p>羊水塞栓症はおおむね10万分娩に5例と比較的まれな疾患であるが,高率に母体死亡をきたしうる,周産期診療領域における最も重篤な疾患の1つである.羊水塞栓症には,羊水あるいは胎児由来成分が母体の肺動脈を塞栓することで急激な心肺虚脱,呼吸不全が生じる心肺虚脱型羊水塞栓症の他,近年,弛緩出血とdisseminated intravascular coagulation;DICとを主症状とするDIC型羊水塞栓症の概念が普及しつつある.今回,当院で経験した,異なる出血の様相を呈した臨床的羊水塞栓症3例について文献的考察を加えて報告する.症例1は27歳の初産婦で,妊娠38週重症妊娠高血圧腎症,子癇発作を認め,吸引分娩を施行された.分娩直後から非凝固性の出血(14000 ml),呼吸不全を認め,脳出血のため死亡した.症例2は34歳の初産婦で,妊娠41週分娩誘発中に断続的な性器出血(675 ml/3h)と呼吸不全を呈した.緊急帝王切開開始と同時に心停止となり,経皮的心肺補助装置を用い自己心拍が再開したが,出血量9500 ml,多臓器不全のため死亡した.症例3は34歳の1経産婦で,妊娠41週吸引分娩2時間後から非凝固性の出血(6400 ml)と呼吸不全を認め心停止となるも,積極的な輸血と呼吸循環管理により後遺症なく救命しえた.過去10年間の羊水塞栓症症例報告数は63例あり,分娩中の発症が33例(52%)と最も多かったが,分娩後1時間以上を経過してからの発症例も6例(9.5%)存在した.したがって,分娩経過のどの時期であっても,非凝固性の多量の出血を初発症状とし呼吸不全を伴う場合には常に羊水塞栓症を念頭に置き,一次医療機関にあっては時期を逸することなく初期治療を開始するとともに,高次医療機関への搬送を行い,高次医療機関にあっては集中的治療を展開することが,母体救命のために必須である.〔産婦の進歩69(4):365-372,2017(平成29年10月)〕</p>
収録刊行物
-
- 産婦人科の進歩
-
産婦人科の進歩 69 (4), 365-372, 2017
近畿産科婦人科学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282679921998976
-
- NII論文ID
- 130006230603
-
- NII書誌ID
- AN00099490
-
- ISSN
- 13476742
- 03708446
-
- NDL書誌ID
- 028603397
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可